風邪で「葛根湯」を飲んで良いケースは?

私が漢方薬に注意深くなった理由は、いくつかの書籍を読んだこともありますが、実際に漢方外来をしている病院の先生が参考例を使って説明していたことに興味を持ったからです。書籍の中でも安易な漢方の摂取は副作用に気をつけなければいけないなど指摘がありましたが、実際に漢方に関わらず安易に定番の薬が処方されたりしているケースはあるようです。

実際に、このサイトのお問い合わせでも「喉が痛いので○○○○の漢方が欲しいのですが、どこかで売ってますか?」や「病院で○○○○と診断されたのですが、漢方だと何で治るでしょうか?」など、漢方は副作用が少なく救世主というイメージですが、実際には何の漢方薬を飲むかではなくて、現在の詳しい症状を診察しなければお医者様も処方する漢方は決められません。「気」が不足しているのか、「血」が不足しているのかで似たような効果がある漢方でも処方は慎重になります。

以下、「豊中やすだクリニック 漢方外来」からの引用です。 [豊中やすだクリニック]

例えば、最もありふれた「風邪」を例に取ると以下のようになります。おそらく病院に「風邪」で行くと、不必要な「抗生物質・解熱剤・咳止め」のセットが出ます。正直言ってあまり良くなりませんし、楽にならず、副作用もかなりあります。(もちろん例外もあります)漢方治療ではその人の状態で全く処方が異なります。

[ケース1]
76歳女性、もともと風邪を引きやすい、5日前から微熱があって鼻水が少しでる。全身がだるく、食欲がない。背中のゾクゾクが取れない。顔色悪い。汗はほとんど出ない。

[ケース2]
40歳男性、もともと丈夫、昨日から寒気、高熱、体温39.5度、下半身より上半身がだるい、節々が痛い。顔が青白い。汗は出ていない。

[ケース3]
25歳男性、もともと丈夫、2日前から寒気、高熱、38度、今朝から大量に発汗、頭痛、頚や肩のこわばり、顔は赤い。下痢もある。

さて、よく処方される「葛根湯」を飲んで良いのはケース2のみです。麻黄湯でも良いかもしれません。残りの2ケースは葛根湯で悪化してしまいます。それを良く知らずに市販の「葛根湯」を飲んだり、あまり漢方に詳しくない先生が処方したりすると、「漢方なんて効かへん」という評判が広まります。

ちなみに、ケース1では香蘇散、ケース3では桂枝湯黄連解毒湯などが用いられます。

当院では、慢性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛)、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎の方には漢方治療を勧めています。アレルギーの方には抗ヒスタミン薬の併用をお願いするケースもあります。特に、花粉症はビジネスマンの方も多く、漢方薬はほとんど眠気が来ないので重宝します。

上記の例の「風邪」の場合と同様、同じ「花粉症」「喘息」でもその方によって処方が異なります。慢性頭痛、アトピーの方は、とにかく鎮痛剤、ステロイドを使用しないことが目標です。なぜかというと、それらを使用しても決して治ることは無いからです。時間はかかっても出来るだけ体質から治していく、それが漢方です。